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下北沢の商業ビル「REVE SQUARE SHIMOKITAZAWA」

  • COMMERCIAL

2026.02

東京都世田谷区

下北沢駅至近の近隣商業地域に建つ、飲食店舗とサービス店舗用途の小規模商業ビルである。敷地面積約140㎡という限られた敷地条件に加え、地区計画による高さ制限・日影制限や壁面後退、前面道路幅員4mといった複数の法規制が重なる環境にあった。

敷地規模と事業条件を踏まえ、本計画では駐輪場を設けない計画としている。屋上に駐輪場を設置することは建物規模や高さ制限との関係から現実的ではなく、地下に駐輪場を設けることもコスト面で合理性を欠いていた。そこで世田谷区自転車条例を前提に、各テナントの用途および面積を精査し、条例上の駐輪場設置義務が生じない計画として成立させている。この判断により、限られた敷地をインフラ的な用途に消費することなく、建物全体を街に対して開かれた空間構成に充てることを可能としている。

建物は鉄骨造・地上5階建てとし、ワンフロア・ワンテナントの構成を基本とした。敷地が三角形状であることから、内部空間としては使いにくい敷地の頂部に、直通階段および避難バルコニーといった法的に必要な避難動線を配置した。これらの階段およびバルコニーは、単に必要最低限の寸法で成立させるのではなく、踊り場やバルコニーを大きめに確保することで、テラス的な利用も可能な屋外空間として計画している。法規上求められる避難動線を消極的な付加要素として扱うのではなく、建物の外部空間を形成する積極的な要素として読み替えることで、各階に街との関係性を持つ場を生み出している。

前面道路には勾配があるため、1階の店舗アプローチと共用エントランスを切り分け、それぞれのレベルを調整することで高低差を吸収している。街路との関係を単一の床レベルで処理するのではなく、場所ごとに適切なアプローチを与えることで、建物全体の使い勝手と街との接続性の両立を図っている。

構造計画においては、主要な鉄骨柱をファサード面から約3.2m後退させた位置に配置し、セットバックするヴォリュームを合理的に形成している。奥行きの深い低層部の道路側には100角の細い柱を設けて垂直荷重を負担させているが、サッシの見付とほぼ同寸法であるため、その存在はほとんど意識されない。

ファサードは、水平に重なる床スラブのラインを強調した構成と、その左右にあるテラス部分に柱を設けないことで得られる抜け感によって、都心のビルにありがちな重層的な圧迫感を避け、街に対して軽快で透過性のある表情を実現している。
また、テラスの軒天井に木仕上げを施すことで、暖かみのある親しみやすい素材感を与え、下北沢の街並みに自然に馴染む外観を目指した。

本計画は、法規や構造、敷地条件といった現実的な制約を前提に、それらを建築の構成原理へと転換する試みである。避難バルコニーや階段といった本来は消極的に扱われがちな要素を積極的に空間化することで、都市に対して軽やかに応答する商業建築のあり方を模索している。

  • 敷地:東京都世田谷区
  • 竣工:2026.02
  • 用途:飲食店+サービス店舗
  • 規模:地上5階
  • 構造:鉄骨造
  • 敷地面積:139.54㎡
  • 建築面積:108.37㎡
  • 延床面積:441.77㎡
  • 施主:株式会社 メデューム
  • 設計監理:小山光+株式会社キー・オペレーション
  • 構造設計:有限会社オーノJAPAN
  • 設備設計:有限会社コモド設備計画
  • 施工:相互建設株式会社
  • 写真:トロロスタジオ 中村マユ

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