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銀座の小さなビル

  • COMMERCIAL

2022.03

東京都中央区銀座

銀座コリドー街から花椿通りに入ったところに建てられた小さなテナントビル。
地価が日本一高い銀座では、幅6.27m、奥行5.46mの10坪しかない敷地でもかなり高額になるため、どこまで賃料を得られるか詳細にオプションを検討した。地上3階までに抑えれば、階段のみの設置で済むが、賃料は3層分しか得られない。それ以上階数を増やす場合はエレベーターも必要となる。階段とエレベーターを敷地の奥行方向に並べてテナントを階ごとに入れようとすると、1階に共用廊下が必要となり、1階のリース面積がほとんどなくなってしまう。エレベーターと階段をファサード側に並べれば共用廊下の問題は解消するが、ファサードをブロックしてしまうだけでなく、3階から必要な避難バルコニーを設けることができなくなる。最終的には階段とエレベーターを奥行方向に並べて、地上5階地下1階のビルを一棟貸しにする形とした。テナントは高級飲食店もしくは宝飾店や時計店などの物販店を想定した。
奥行方向に階段とエレベーターを設置するには地下の基礎躯体を隣地境界の間を200mm程度まで寄せる必要があったため、通常の山留めの施工が出来ず、地下の躯体を地上で打設し、後からした土を掘って基礎自体の自重で沈めていく「潜函工法」が採用された。通常この工法は土木工事で行われることが多いが、建築でも施工経験があった大原工務所のノウハウをもとに施工された。地下躯体の深さは支持層に直接載せるために6mとなっているが、まずは2.5mのロの字の躯体を打設した。躯体の先端は躯体が沈みやすいように、先端が尖った金物を取り付けた。土留として機能するロの字の躯体の中から躯体の先端の土を掘ってかき出して沈め、さらに残りの3.5mの躯体を打設し、さらに沈めていった。
地上の鉄骨は小さな平面のため、なるべく細くする必要あり、150角と125角の太さのカクホットという肉厚の鉄骨柱を使用している。2時間耐火の1-2階はセラタイカという左官の耐火被覆として、1時間耐火の3階以上は耐火塗料を使用した。
地下階は倉庫兼設備スペースとして、電気の引込開閉器盤、MDFや排水管などが設置されている。
1階部分は敷地の西側に50cm弱のスペースを設け、水道の量水器を設置しているが、汚水桝を設置する外部空間の確保が困難だったため、正面の窓サッシの腰部分のみをセットバックして外部化して汚水桝を設置した。避難階段はファサード側に設置し、避難階段から出口までの避難経路をコンパクトにした。
西側のスペースは設備配管を通すためのパイプスペースにしているが、吸気口を設けられるように外部化している。テナント工事があとからできるように、この外部パイプスペースに面する壁には大きなけんどん式の点検パネルを設け、外側はエキスパンドメタルで覆った。
ファサードはラグジュアリー感を求めるテナント誘致のためにゴールドとした。階段側には広告塔としてグラフィックなども掲示できる内照式のFFシートのサインを設けた。
屋上スペースは室外機や排風機置き場だけではなく、屋上で飲食できるようなスペースを作り、ガラス越しに前面の通りを見たり、近隣のビルの景色を楽しめるようにした。

 

解説動画フルバージョン 17:49

解説動画ショートバージョン 4:56

  • 敷地:東京都中央区銀座
  • 用途:テントビル
  • 竣工:2022.03
  • 構造:構造設計工房デルタ
  • 設備:コモド設備計画
  • 施工:大原工務所
  • 写真:矢野紀行
  • 敷地面積:34.28m2
  • 建築面積:28.34m2
  • 延床面積:167.76m2

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