南青山のセットアップアップオフィス

南青山3丁目に計画された本プロジェクトは、スタートアップの拠点としての柔軟性と、クリエイティブなコミュニティを育む場としての開放性を兼ね備えた都市型シェアオフィスである。

1階には、街に開かれた飲食店舗と入居者専用のシェアラウンジを設け、建物内外の人々が自然に交わるための場を準備した。シェアラウンジは単なる待合ではなく、入居者や来訪者の交流を促すハブとして機能し、地域とも緩やかにつながる。

建物の中央には中庭を配し、各階をつなぐ外廊下やテラスから緑を眺めながら行き交うことができる。外廊下は立体的に折り重なる「回廊」としてデザインされ、利用者同士が偶発的に出会い、交流を育む仕掛けとなっている。

ファサードはグリーンのエキスパンドメタルと木質の軒天井で構成され、都市の硬質なスケールに軽やかさと温かみを与えている。外廊下やテラスには植栽を組み込み、建物全体が「緑のレイヤー」として街に開かれるよう意図されている。

総延床面積約1,997㎡、地上6階建の中には、即入居可能なセットアップオフィスと、柔軟な利用が可能なシェアオフィスを組み合わせ、多様な働き方に対応する。各階には共用のシェアラウンジやミーティングルーム、TELブース、コピー室などを備え、効率的なワーク環境を提供。外廊下やテラスは作業や打合せの延長として活用でき、さらに屋上にはオープンテラスを設け、イベントやリフレッシュの場として利用できる。

本計画は、働くことと憩うことを同時に支える新しいワークプレイスの提案である。青山というクリエイティブな街にふさわしい柔軟で有機的なオフィス環境を実現し、スタートアップや小規模事業者の成長と交流を後押しするハブとなることを目指している。